「先生、家ではあんまり勉強できてないです。」
塾で生徒と話していると、そんなふうに自分から話してくれることがあります。
「やらないといけないのは分かってるんですけど……」
「テスト前なのに、あんまりできてなくて。」
そんな話を聞くと、最初は「じゃあ、もう少し勉強する時間を作ろうか」と思うかもしれません。
実際、勉強する時間が足りていないこともあります。
でも私は、最近はその前に一度、
「この子は、どうして勉強できていないんだろう?」
と考えるようになりました。
勉強しなきゃいけないことは、本人も分かっていることが多いからです。
それなのにできない。
そういうときは、単純に「やる気がない」「怠けている」ということだけではないのかもしれません。
「勉強しなさい」と言われても、何をすればいいのか分からない
私自身、学生の頃に「勉強しなさい」と言われるのは、あまり好きではありませんでした。
もちろん、勉強しなきゃいけないことは分かっています。
でも、何度も言われると、だんだん「分かってるのにな……」という気持ちになってしまう。
そして、ただ「やらなきゃ」と思っているだけでは、なかなか自分から勉強している感覚にもつながりませんでした。
自分で目標を決めて、
「ここまでできるようになりたい」
「このために今これをやろう」
と思えているときのほうが、私は勉強に取り組みやすかったように思います。
だから、塾で生徒が「最近あまり勉強できていない」と話してくれたときも、いきなり「もっとやろう」と言うのではなく、
「じゃあ、今何ができているのか整理してみようか」
と考えることがあります。
勉強できない理由は、一人ひとり違う
生徒を見ていると、同じ「勉強できていない」という状態でも、その理由は本当にそれぞれです。
そもそも勉強する習慣がまだ身についていない子もいます。
そういう場合は、いきなり長時間勉強することを目指すより、まず生活リズムを整えて、毎日少しでも机に向かう時間を作るところから始めたほうがいいこともあります。
一方で、ある程度勉強しているのに、なかなか前に進めない子もいます。
そういう場合は、単純に勉強時間を増やせばいいとは限りません。
例えば、英語の勉強をしている生徒でも、
英単語がまだ十分に身についていないのに、難しい長文問題ばかり解いている
ことがあります。
本人はちゃんと勉強しているんです。
でも、知らない単語がたくさん出てくる。
文章もなかなか読めない。
問題も間違える。
そうすると、「こんなに勉強しているのにできない」という状態になってしまいます。
また、自分の今のレベルよりかなり難しい教材を使っていて、問題を解くたびに分からないことが増えてしまっていることもあります。
こういうときに、
「もっと長文を解こう」
「もっと勉強時間を増やそう」
とするだけでは、もしかしたら本人はもっと苦しくなってしまうかもしれません。
まずは、
「今、一番足りていないのは何だろう?」
と考えることが必要だと思います。
だから、「勉強量を増やさなくていい」という話ではありません
ここは私自身も大切にしたいところです。
私は、「勉強は量じゃない」と言いたいわけではありません。
やっぱり、ある程度の勉強量が必要な場合もあります。
特に、まだ勉強習慣ができていない子の場合は、まず勉強する時間そのものを増やしていくことが必要です。
例えば、
「毎日10分だけやる」
ところから始めて、慣れてきたら20分、30分と少しずつ増やしていく。
そのためには、生活リズムを見直したり、勉強する時間を決めたりすることも必要になります。
でも、すでにある程度勉強しているのに結果につながっていないのであれば、今度は「量」ではなく「やり方」を見直したほうがいいかもしれません。
基礎が足りないなら基礎に戻る。
単語が足りないなら単語を覚える。
教材が難しすぎるなら、今の自分に合ったものに変える。
長文を読むための力が足りないなら、その原因を探す。
同じ「勉強が足りないように見える子」でも、必要なことは違います。
だから私は、
「もっと勉強しよう」だけではなく、「今、この子には何が必要なんだろう?」
と考えることが大切だと思っています。
まずは「今できていること」を整理してみる
もし「何から勉強すればいいのか分からない」という状態なら、全部を一気に頑張らなくてもいいと思います。
まず、今できていることを整理する。
そして、できていないことや苦手なことを一つずつ見ていく。
その中から、
「今、一番優先したほうがいいのはどれかな?」
と考えてみる。
私は生徒と話すときも、できるだけそういうふうに考えています。
例えば、
「英語が苦手です」
と言われたとしても、それだけでは何が苦手なのか分かりません。
単語なのかもしれない。
文法なのかもしれない。
長文なのかもしれない。
リスニングなのかもしれない。
もしかしたら、英語そのものではなく、「何を勉強したらいいのか分からない」ということが一番の問題なのかもしれません。
だから、まずは一緒に整理する。
そして、分かりやすい目標を決めて、それを毎日の生活の中に落としていく。
「英語を頑張る」ではなく、
「今週はこの単語を覚える」
「毎日この時間に20分だけやる」
「次のテストではここをできるようにする」
というように、できるだけ具体的にしていく。
そうすると、「何か勉強しなきゃ」と焦っている状態から、「今日はこれをやればいい」という状態に少しずつ変わっていくと思います。
自分で決めた目標があると、勉強との向き合い方も変わる
これは私自身も経験してきたことです。
誰かに「勉強しなさい」と言われて勉強するのと、
「自分はここまでできるようになりたい」
と思って勉強するのでは、同じ勉強でも少し違う感覚があります。
もちろん、勉強には「やりたくないけどやらなきゃいけないこと」もあります。
毎日やったほうがいい単語の勉強などもあります。
でも、自分の中に目標があって、
「このために今これをやっている」
と思えていると、「自分からやっている」という感覚を持ちやすくなると思います。
逆に、目標もゴールもよく分からないまま「もっと勉強しなきゃ」とだけ思っていると、ただ焦ってしまうこともあります。
机には向かう。
でも、何をやればいいか分からない。
とりあえず問題を解く。
でも、あまり身についている感じがしない。
そして、「やっぱり自分は勉強が苦手なんだ」と思ってしまう。
私は、これはすごくもったいないことだと思います。
「勉強できない自分」を責める前に
もし今、
「勉強しないといけないのに、なかなかできない」
と思っているなら、一度だけ、
「自分は本当に勉強していないのかな?」
と考えてみてほしいです。
もしかしたら、少しはできているかもしれない。
でも、自分が思っていたより目標が遠すぎるのかもしれない。
やっていることが、今の自分には少し難しすぎるのかもしれない。
何を優先すればいいのか分からなくなっているのかもしれない。
あるいは、まだ勉強する習慣そのものができていないのかもしれません。
理由が違えば、やることも変わります。
だから、「もっと頑張らなきゃ」と自分を責める前に、
「私は今、どこでつまずいているんだろう?」
と考えてみる。
何からやればいいか分からないなら、一つずつ整理する。
周りと同じ量を勉強できなくても、まずは自分のつまずきを見つけるところから始めていいと思います。
私が生徒に寄り添うときに大切にしたいこと
塾講師として生徒と接していると、勉強のことだけではなく、その子が今どんな気持ちで勉強しているのかも大切だなと感じます。
「勉強していない」と自分で分かっている子もいます。
「やらなきゃいけない」と思っているのに、できないことに悩んでいる子もいます。
そういうときに、ただ「もっとやろう」と言うのではなく、
「じゃあ、どうしてできないんだろう?」
「今できていることは何だろう?」
「次に何をやったらいいかな?」
と一緒に考えられる先生でいたいと思っています。
Walnut Englishでも、英語が苦手だからといって、最初から難しいことをたくさん求めるのではなく、生徒が今どこにいるのかを見ながら、一つずつ進んでいくことを大切にしています。
勉強は、ただ量を増やせばいいわけでもないし、逆に量を増やさなくていいわけでもありません。
生徒によって、今必要なことが違うからです。
だからこそ、
「もっと勉強しなさい」
の前に、
「今、何につまずいているんだろう?」
と一緒に考えてみる。
私は、そんなふうに生徒の気持ちにも寄り添いながら、英語を教えられる先生でありたいと思っています。
もし今、勉強を頑張りたいのに何から始めればいいか分からない人がいたら。
全部を一気に変えなくても大丈夫です。
まずは、自分が今できていることを一つ見つけてみる。
そして、次にできるようになりたいことを一つ決める。
そこからでいいと思います。


